第一サムエル記 13
ソールのダビデへの嫉妬
サムエル記第1巻の第13章の要約:サウルはダビデの軍事的勝利と人気に嫉妬し、二人の間に対立が生じる時期を迎えます。
1サウル三十歳にて王の位に即く彼二年イスラエルををさめたり
2爰にサウル、イスラエル人三千を擇む其二千はサウルとともにミクマシおよびベテルの山地にあり其一千はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにあり其餘の民はサウルおのおの其幕屋にかへらしむ
3ヨナタン、ゲバにあるペリシテ人の代官をころせりペリシテ人之れをきく是においてサウル國中にあまねくラツパを吹ていはしめけるはヘブル人よ聞くべし
4イスラエル人皆聞けるに云くサウル、ペリシテ人の代官を撃りしかしてイスラエル、ペリシテ人の中に惡まると斯て民めされてサウルにしたがひギルガルにいたる
5ペリシテ人イスラエルと戰はんとて集りけるが兵車三百騎兵六千にして民は濱の沙の多きがごとくなりき彼らのぼりてベテアベンにむかへるミクマシに陣をとれり
6イスラエルの人苦められ其危きを見て皆巖穴に林叢に崗巒に高塔に坎阱にかくれたり
7また或るヘブル人はヨルダンを渉りてガドとギレアデの地にいたる然るにサウルは尚ギルガルにあり民皆戰慄て之にしたがふ
8サウル、サムエルの定めし期にしたがひて七日とどまりしがサムエル、ギルガルに來らず民はなれて散ければ
9サウルいひけるは燔祭と酬恩祭を我にもちきたれと遂に燔祭をささげたり
10燔祭をささぐることを終しときに視よサムエルいたるサウル安否を問はんとてこれをいで迎ふに
11サムエルいひけるは汝何をなせしやサウルいひけるは我民の我をはなれてちりまた汝の定まれる日のうちに來らずしてペリシテ人のミクマシに集まれるを見しかば
12ペリシテ人ギルガルに下りて我をおそはんに我いまだヱホバをなごめずといひて勉て燔祭をささげたり
13サムエル、サウルにいひけるは汝おろかなることをなせり汝その神ヱホバのなんぢに命じたまひし命令を守らざりしなり若し守りしならばヱホバ、イスラエルををさむる位を永く汝に定めたまひしならん
14然どもいま汝の位たもたざるべしヱホバ其心に適ふ人を求めてヱホバ之に其民の長を命じたまへり汝がヱホバの命ぜしことを守らざるによる
15かくてサムエルたちてギルガルよりベニヤミンのギベアにのぼりいたる
16サウルおのれとともにある民をかぞふるに凡そ六百人ありき
17サウルおよび其子ヨナタン並にこれとともにある民はベニヤミンのゲバに居りペリシテ人はミクマシに陣を張る
18劫掠人三隊にわかれてペリシテ人の陣よりいで一隊はオフラの路にむかひてシユアルの地にいたり
19一隊はベテホロンの道に向ひ一隊は曠野の方にあるゼボイムの谷をのぞむ境の路にむかふ
20時にイスラエルの地のうち何處にも鐵工なかりき是はペリシテ人ヘブル人の劍あるひは槍を作ることを恐れたればなり
21イスラエル人皆其耜鋤斧耒即ち耜鋤三歯鍬斧の錣に缺ありてこれを鍛ひ改さんとする時又は鞭を尖らさんとする時は常にペリシテ人の所にくだれり
22是をもて戰の日にサウルおよびヨナタンとともにある民の手には劍も槍も見えず只サウルと其子ヨナクンのみ持り
23茲にペリシテ人の先陣ミクマシの渡口に進む