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我わが愛する者の爲に開きしに わが愛する者は已に退き去りぬ さきにその物いひし時はわが心さわぎたり 我かれをたづねたれども遇ず 呼たれども答應なかりき
やがて起いでてわが愛する者の爲に開かんとせしとき 沒藥わが手より沒藥の汁わが指よりながれて關木の把柄のうへにしたたれり
邑をまはりありく夜巡者等われを見てうちて傷つけ 石垣をまもる者らはわが上衣をはぎとれり