章全体を読む
目に觀る事物は心のさまよひ歩くに愈るなり 是また空にして風を捕ふるがごとし
賢者なんぞ愚者に勝るところあらんや また世人の前に歩行ことを知ところの貧者も何の勝るところ有んや
嘗て在し者は久しき前にすでにその名を命られたり 即ち是は人なりと知る 然ば是はかの自己よりも力強き者と爭ふことを得ざるなり